地域猫と地域猫活動

「地域猫」や「地域猫活動」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

ノラ猫によるオシッコやフンの被害、倉庫や縁の下でのノラ猫の出産、ノラ猫にエサをやる人とノラ猫に困っている人の間でのトラブルなど、ノラ猫問題に悩んでいる地域が沢山あります。

ノラ猫に迷惑している人も、ノラ猫をかわいそうに思う人も、どちらも「ノラ猫を減らしたい」という願いは同じだと思います。

その解決策のひとつとして注目されているのが、「地域猫」や「地域猫活動」です。

地域猫とは

地域猫とは、特定の飼い主はいませんが、地域住民、行政、ボランティアが協力し、一定のルールのもとに管理され、その地域で生活している猫のことをさします。

地域猫は、これ以上数を増やさないように不妊去勢手術をして、適切に管理することで、一代限りの生を全うさせる猫です。

地域猫活動とは

地域猫活動とは、いわゆるノラ猫による問題を地域の問題としてとらえ、地域住民が協力して問題解決にむけて行う活動です。地域猫活動が適正に行われている地域では、猫の数は確実に減っていくといわれています。

地域猫活動は地域の実情に合わせ、それぞれのルールがありますが、おおよそ共通するのは下記の３点です。

不妊去勢手術を行う

ノラ猫による問題は、猫が増えすぎたことで顕著になります。

これ以上猫を増やさない、生ませないことが一番重要なポイントです。

手術した猫の耳の先を小さくカットし、手術済みの目印とします。

子猫が生まれなくなるだけでなく、繁殖期の異常な鳴き声や喧嘩による騒音が無くなります。

餌やりのルールを決める

ノラ猫にエサをやらないだけでは、猫がゴミをあさるなど別の問題が発生するだけで根本的な解決にはなりません。

むしろ、エサを与える方が、不妊去勢手術ために猫を捕まえやすくなったり、猫の数を把握できます。

ただし、エサを与えるにも、置きっぱなしにしたり、他人の土地に置いたりするのはNGです。

周辺住民の迷惑にならないように、餌やりの時間と場所を決め、カラスや害虫等を引き寄せないために食べ残した餌はすぐに片付けるなど、ルールを決め、それに従っておこなうようにします。

トイレを設置し、トイレと周辺の清掃を定期的に行う。

フンやオシッコはノラ猫の大きな問題です。

トイレを設置して、ふん尿による被害を少なくします。

ただし、トイレ以外で排泄してしまう猫も居るので、猫が生活している周辺地域の清掃も行います。

その他、自治体や町会によって活動地域を指定したり、ボランティアの登録制度など、地域の実情に合わせた方法がとられています。地域猫活動は、地域住民の協力によって行われる活動なので、個人ではできません。地域猫活動を考えている方は、お住いの地域の保健所等、動物担当の部署に問い合わせてみましょう。

地域猫活動は地域のみんなのための活動

地域猫活動は、猫が好きで大切に思う人にとっても、猫の被害に困っている住民にとっても、猫トラブル解決の糸口になります。

地域猫活動は行政やNPO法人と協働しながら行いますが、活動主体はその地域にお住まいの人になります。猫の好き嫌いに関わらず、「ノラ猫の数を減らすため」に協力してくれる人を地域で募り、活動を始めていきます。

地域猫活動は、「住みよい地域」をつくるための活動です。

家庭内での猫の飼い方も重要-必ず室内で飼いましょう

決まった飼い主のいない地域猫が適正に管理されていても、飼い主が自分の飼い猫を不妊去勢手術せずに放し飼いにし、常に外に置き餌をしているようでは、外にいる猫によるトラブルもノラ猫も減りません。

地域猫活動を行っても地域の猫の問題を解決できるどころか、猫によるトラブルが多発して、猫が嫌いな人や無関心だった人に、地域猫活動さえ認めてもらえなくなります。

また、猫が必ず設置したトイレを使うとは限らず花壇に排泄してしまったり、周辺住民の大切な金魚や飼い鳥に悪戯をしてしまうかもしれません。

猫が外に居る限り、そのようなトラブルを完全になくすことは困難です。せめて、なるべくトラブルを減らすために、猫に関わる人は、責任をもって社会に認められる飼い方をしなければ、猫が悪者になってしまいます。

当サイトでは、猫は完全室内飼育を強く推奨しています。地域猫活動は、全ての猫が飼い主さんのもとで安全に、安心して暮らせるようになるまでの、過渡的な活動であって欲しいと思います。