「咬み犬」にさせない 犬への接し方

犬が人に絶対的な信頼を寄せると、よほどのことがない限り咬むようなことはしません。

犬の信頼を得るためには、絶対に犬を叱らないこと、叩かないこと、怒鳴らないこと、驚かさないことです。

犬が間違ったことをしたら、「コラ」「ノー」など言葉を使って行動を制止してしまうと思いますが、これはただ音を発して犬の気を引いただけの行為です。そのあと、本来は何をすべきだったのか犬に伝え(例えば、オスワリ、ハウスに行け、コイなど)、その行動を指示し、できたらほめて報酬を与えます。

これをくりかえすことで犬はどんな時に何をすべきか学習していきます。

犬が人を咬まなくてはならない時はどんな時か?

犬が人に対して攻撃性を見せる時は、ほとんどの場合は怖かったり、どうしていいか分からなくて咬んでいます。

例えば犬に首輪をつけようとして、犬が急に咬んできた場合はどうでしょうか。犬にとっては、人という大きい動物が毎日何度も近づいてきて、犬にとって傷つけられたら致命傷になる「首回り」を大きな手で触っていることになります。少し神経質だったり怖がりな性格の犬であれば、とても怖い状況です。そのため、近づいてきた手をとっさに咬んでしまうこともあると理解できます。

人が体に触れることや、人の手は怖くないと教えましょう

人は大きくて色々なことをするけれど、怖くないし信用していいんだというメッセージを伝えるために、子犬のときから犬を褒めまくりましょう。

特に手は良いものとして教えて欲しいので、手で犬を触ってはおやつをあげたり、手を近づけては褒めてあげたりします。手が近づくと怖いという印象を与えないために、手で犬を脅かしたり、手で犬を叩いたり、手で犬を叩くフリをしたり、手で食べものをあげるときにわざとじらしたりしないでください。

犬は一般的に足を触られたり首回りを触られたりするのは苦手なので、足を触ったり、足を拭いたり、首輪の辺りを触ったり、服を着せるような時は、美味しいおやつを沢山あげながら行ってください。

「苦手な場所を触る」など犬が苦手とするものを美味しいおやつと一緒に提供することで触られたり、いじられたりする苦痛は減ります。

子犬の時はたいせつ

生後3 週齢から4 ヶ月齢までの子犬は「社会化期」と言って、自分たちの周りにあるありとあらゆる刺激に対して慣れていく時期になります。これから接点のあるかもしれない色々な刺激、例えば掃除機、ドライヤー、足を拭く動作、首輪を触る動作、散歩中に合う様々な人(老若男女)、制服を着た人、杖を突いた人など、いろいろな刺激に触れさせ、その都度おやつを与えてほめ、いろいろな刺激が世の中にはあふれているけれど、みんな怖くなくて、どの刺激も楽しいものだと教えていきます。

子犬期はどの刺激に対して気を付けなければならないかも学びます。子犬の時にあまがみを治すと称して人の手を口に無理に突っ込んだり、叩いたり、怒鳴ったりすると人の手が怖くなったり、人自体が怖くなったり、人の大きな声が怖くなったりします。人のことが怖くなると人に咬みつく可能性が上がります。ぜったいに子犬を叱ったり無理強いをしないようにします。

 

執筆者:事務局