迷子にさせない・犬の迷子対策

自分の犬が迷子になるなんて、考えたことがない飼い主さんが多いかもしれません。しかし、インターネットやSNSでは、迷子になった犬の飼い主さんからの投稿が多く見られます。

犬の迷子の多くは、飼い主さんは犬が迷子になると思っていなかった状況で起きています。

 

例えば・・・

  • スーパーの店先に繋いで買い物して戻ったらいなくなっていた
  • サービスエリアで休憩中ちょっと目を離したらいなくなった
  • 散歩中にすれ違った車が大きな音をたてて、驚いた犬が走り出し思わずリードを放してしまった
  • 花火や雷の音に驚いて家から飛び出した
  • 散歩で嫌いな犬に出会い、犬が走り出して首輪がすっぽ抜けた
  • いつの間にか家からいなくなった。人の出入りのときに玄関ドアの隙間から出たらしい・・・

迷子にさせないために

まずは、迷子になるような状況を作らないことが大切です。

1 犬は大きな音が苦手

多くの犬は、花火や雷のような大きな音が苦手です。花火大会には連れて行かないのはもちろん、近くの花火大会の日程や、雷雨になるような天気の予報に気をつけて、早めに犬を音の聞こえない部屋に入れるなどの対策をとりましょう。

突然の大きな音でも、犬はパニックになって走り出したりします。普段から、散歩のとは車やバイクなど大きな音を立てる可能性があるものに気を配り、外ではリードきをしっかり持つようにしましょう。

2 スーパーなどの店先で犬だけで待たせることはしない

飼い主さんの目の届かないところでは、何が起きるかわかりません。犬の安全を守るという意味でも、飼い主の目の行き届かない場所に犬を放置するのはやめましょう。

3 散歩のときは首輪やリードに気をつける

首輪が古くなったり、サイズが合わなくなっていると、リードを引いたときに、首輪がすっぽ抜けたり千切れたりすることがあります。いつも首輪の状態をよく確認しておきましょう。首が太くて首輪がすっぽ抜けやすい体形の犬の場合は、散歩のときは胴輪をつけて胴輪にリードを繋ぐなどの対策をとりましょう。

4 ペットゲートの活用

室内飼いの犬が人の出入りのときに玄関ドアの隙間から出てしまうような場合は、玄関の上がりかまちにペットゲートを設置して出られなくする方法があります。さらに、家の門は常に閉じておくようにすれば、万が一、家から出てしまっても敷地から出ることは防止できます。

5 譲渡などで家庭に来たばかりの成犬

犬はまだ自分の家や家族と思っていないので、元の家に戻ろうとすることがあります。家から出たり、散歩の途中で放れてしまうと自分から戻ってくることはまずないと思ってください。譲り受けたばかりの犬は、絶対にひとりで家の外に出ないよう、玄関ドアや窓の開閉に注意する、散歩のときは首輪と胴輪をつけ、両方にリードをつける「ダブルリード(リードを2本つけること)」にするなど、徹底した迷子にさせない対策が必要です。

 

上記の他にも、犬が迷子になる思わぬ落とし穴はたくさんあります。家のドアや庭の囲いに出ていける隙間はないか、犬の周りをよく点検してください。

また、未去勢のオス犬は、発情したメス犬の匂いを感じとると、本能的にメス犬の近くに 行きたくなります。発情したメス犬の匂いは2km先にも届くと言われています。メス犬は発情期には落ちつきがなくなり、飼い主のいうことをきかず、外に出たがるようになります。子どもを産ませる予定がないのであれば、去勢手術、避妊手術をする方が、迷子になる可能性は低くなります。

もし迷子になったときのための対策

迷子にさせないことがもちろん一番大切ですが、何が起きるかわかりません。地震や水害など突然の災害で迷子になることもあり得ます。もし迷子になったときを考えて、犬が保護されたときに飼い主のもとに帰ってこられるよう、対策をとっておくことが必要です。

1 鑑札と狂犬病予防注射済票

飼い主には犬の登録が義務付けられていて、犬を登録すると、鑑札が発行されます。(2022年6月からは、マイクロチップの装着と指定登録機関への登録が鑑札の替わりになることがあります。詳しくは区市町村に問い合わせてください。)これには、固有の番号が刻印してあり、データベースに照合すると飼い主の情報がわかるようになっています。

犬には毎年の狂犬病予防注射も義務付けられています。予防注射をすると、狂犬病予防注射済票が発行されます。これにも固有の番号が書かれていて、データベースに照合すると飼い主の情報がわかるようになっています。

これらの公的なデータベースの飼い主情報は役所しか知ることができないので、個人情報が漏れることがない安心な「迷子札」といえます。

2 マイクロチップ

マイクロチップは、動物の身体の中に装着するため取れたり紛失するリスクが低く、安全で確実な個体識別の方法として、希少動物などをはじめ、世界中で広く使用されています。

マイクロチップは外側が生体適合ガラスで作られた直径2㎜、長さ8~12㎜程度の円筒形で、内部はⅠC、コンデンサ、電極コイルが入っています。それぞれのチップには、世界で唯一の15桁の数字が記録されており、書き換えることはできません。数字は専用のリーダー(読取器)で読み取ります。

マイクロチップに記録されているのは15桁の数字だけなので、データベースに飼い主の情報を登録する必要があります。

データベースは民間のものもありますが、2022年6月からペットショップやブリーダーなどで販売される犬猫へのマイクロチップの装着と指定登録機関への登録が義務になりました。2022年6月以降にペットショップなどから購入した犬猫の場合は、すでに装着されていて、購入時に一緒に登録証明書を渡されるので、データベースの飼い主情報の変更登録を必ず行いましょう。

すでに飼われている犬猫については、マイクロチップ装着は義務ではありませんが、装着が推奨されています。新たにマイクロチップを入れる場合は、動物病院で獣医師が行います。マイクロチップを装着したら、指定登録機関への登録は義務になります。

マイクロチップの読取器は動物病院や保健所、動物愛護管理センター、警察署などにあります。指定登録機関に登録された飼い主情報は、役所しか知ることができません。

(2022年6月からは、マイクロチップの装着と指定登録機関への登録が鑑札の替わりになることがあります。詳しくは区市町村に問い合わせてください。)

3 迷子札

迷子札の利点は、目で見てわかるので、誰にでも気づいてもらえやすいことです。さまざまなタイプが市販されていますが、飼い主さんの電話番号などの連絡先が記入しやすく、気づいてもらいやすいものを選びましょう。ただ、個人情報を記入することになりますので、その点の注意が必要になります。

4 飼い主と犬の写真

飼い主と一緒に写った犬の写真を、スマホなどに保存しておきましょう。万一迷子になったときに、ポスターやSNSの情報発信に使えますし、飼い主である証明にもなります。

 

迷子にさせないための環境づくりをしておくことが一番大切ですが、突然の事故、災害など、不測の事態はいつ襲ってくるかわかりません。迷子になった時のことも考えて、避妊去勢手術やマイクロチップを装着しておくなどの対策をあらかじめ取っておくことも重要です。

また、迷子になってしまった時の対処法を知っておきましょう。

執筆者:事務局