バスケットマズルに慣れさせる[口輪の使い方]

バスケットマズルとは

バスケットマズルとは、犬の口の周りをバスケット状の物で覆う口輪です。
いろいろなタイプの口輪が販売されていますが、プラスチック製のバスケットマズルは、軽く、着けたままで無理なく呼吸でき、水を飲むこともできるので、ある程度長い時間でも装着したままでいられます。

動物病院で獣医さんを咬んでしまったり、お散歩のときに道に落ちているものを食べてしまったりといったことを防止し、人と犬の両方の安全を確保できます。
万一の災害で避難するときも、混乱した状況や混雑した避難所で犬が他の犬や人を傷つけたり迷惑をかけてしまうことを防ぎ、周りの方の不安を和らげることができます。
バスケットマズルは、犬と人の安全を守るために必要なアイテムです。

バスケットマズルに慣れさせるトレーニング

バスケットマズルを着けることに慣れさせるには、犬の方から喜んでマズルに口先を入れるようにトレーニングすることが大切です。
いきなり着けると犬がびっくりしてパニックになり、口輪を着けることに犬が恐怖感や拒否感を持つようになってしまうこともあります。そうならないように、少しずつ慣れさせていきます。
まずは動画を見てください。

バスケットマズルに慣れさせるトレーニング

①犬の体格に合ったバスケットマズルを選びます。

②バスケットマズルの先端は、おやつを入れられるように少し切り取ります。バスケットマズルはこのままで使い続けることができます。

③おやつをマズルの入口すぐのところに置くことから始めます。犬が自分からマズルに口先を入れるように仕向けます。

おやつはペーストタイプのものを使うとマズルに密着して、隙間から落ちないので便利です。動画で使っているスプレー式のものや、チューブタイプのものなどがあります。

④おやつを置く(塗る)位置をだんだん奥にして、犬がマズルの奥まで口先を自ら入れるように仕向けていきます。この時、人が手を動かさず、犬が自ら入れてくるのを待つのが成功への近道です。

⑤次に、留めひもが頭の上にある状態でも、マズルに口先を入れるようにしていきます。(ひもはまだ締めません。)この時も、人が手を動かさず、犬が自ら頭と鼻を入れてくるのを待ちます。

⑥ひもがある状態でもマズルに口先を入れるようになったら、ひもを首の後ろにかけた状態でマズルの先端からおやつを与え、ひもがある状態に慣れさせます。

おやつはペーストタイプの他にも、小さくちぎったジャーキーやドライフードが使えます。練習中はマズルが特別な物になるように犬が大好きな特別なおやつを用意します。

⑦首の後ろにひもがある状態に慣れたら、スライド式に締めるタイプのものは、ひもを締めてみます。カチンと止めるタイプのものは、なるべく音がしないように止めてみます。(音に敏感な犬の場合は、スライド式に締めるタイプを選ぶといいでしょう。)

⑧ひもを締めて装着できた後も、おやつを与え続けます。

上手くいくコツは、焦らず、犬の行動に合わせて少しずつ慣れさせていくことです。
初めてマズルを見てから着けるところまで、上手くいけば1日でトレーニングすることも可能です。
犬が自分からマズルに口を入れるように誘導し、マズルを着けていると美味しい特別なおやつをもらえると学習させることが大切です。

動物病院の受診のために口輪を使うとき

口輪と動物病院が結びついてしまわないように、普段から口輪をつけることを「美味しいおやつをもらえるゲーム」として行うようにします。病院に行かない日でもマズルを装着しておいしいおやつを与えます。

病院に行く日には、診察室に入る直前にマズルを着けてもいいですし、今回紹介しているバスケットマズルなら比較的長い時間着けておけるので、家を出るときから着けておくこともできます。
治療に支障がなければ、診察する獣医さんからもマズル越しにおやつを与えてもらえるといいでしょう。

布製マズルなど他のタイプの口輪

バスケットマズル以外にも、布製で口の周りを包んで鼻先は出ているタイプ、シリコン製や透明プラスチック製で口全体を覆うタイプなどが市販されています。
口の周りを包んで口を開けられなくする構造の口輪だと、暑くてもパンティング(口を開けてハアハアと息をすることで体温を下げる行動)ができなかったり、水を飲むことができずに、熱中症になる場合があります。長時間の装着は避け、装着時は目を離さないようにしましょう。
鼻先が出ている構造の口輪だと、犬は口先で咬みつくことができるので気を付けてください。
バスケットマズルに慣れた犬でも、他のタイプの口輪は「初めての体験」になるので、タイプの違う口輪はそれぞれ別に慣らすトレーニングが必要になります。

さいごに

バスケットマズルは装着していても呼吸ができ、水を飲んだり食べたりもできます。バスケットマズルを着けることに慣れさせておくと、もしもの時に役立ちます。ぜひ一緒に楽しくチャレンジしてみてください。

 

執筆者:事務局