目次
食べることは生理的欲求の一つで生きるための活動です。
食べることは日常生活の中心です。
食べたいという気持ちは長生きの秘訣です。
食欲を維持し活動量を上げて筋力を維持することが、高齢犬の食事対策の目的です。
安心して食事ができるようなサポートをしてあげましょう。
猫は食に対して慎重です。自分の経験や感覚を大切にします。対策は愛猫に合わせていろいろ試してみましょう。
サポートその1 食事台・ 盛り付け・食器の工夫
食事台
加齢による筋力の低下で、頭を食器まで下げる姿勢を続けることが難しくなります。
食べやすい高さに調整しましょう。
猫の肘の高さくらいが食べやすい高さです。
盛り付けの工夫
平らなお皿に山状に盛り上げると、口にくわえやすくなります。
ひげが当たらないように、お皿を横から見たときに、縁よりちょこんと高くなるように盛りつけます。
食器
器の材質や形を変えると、食べるようになることがあります。
食器の劣化で匂いがあったり、舌ざわりが嫌になることがあるかもしれません。深さや形状で顔が汚れやすかったり、隅にあるごはんが食べづらいこともあるかもしれません。
新しいものに変えるだけでよいかもしれませんし、形状や材質かもしれません。それぞれの好みがあるので試してみましょう。
サポートその2 食事の中身の工夫
お皿の外に散らばる量が増えてきたら、硬さや種類を切り替えていきましょう。
高齢猫用のドライフードは、粒も小さく、噛みやすい硬さのものも増えています。
また、食事から水分補給も増やしていきたいので、ウェットフードも食べられるようにしましょう。
食欲増進には匂いも重要です。与えるフードを温めると香りが立ちます。ドライフードでもできます。ただし温めた食事は傷みやすいので、食べ残しは下げましょう。
香りづけにはだしパックがおすすめです。チャック付袋に少量のフードと一緒にだしパックを入れると、成分は混ざらず香りだけがつきます。
サポートその3 食べたい気持ちを高める工夫
食べたいと思う気持ちを高める工夫をしましょう。
少し大げさに「ごはんだよ!」の合図をしてあげましょう。
若いころは、缶詰をパカッと開ける音やにおい、おやつの袋のカサカサ音など、おいしいものに敏感に反応したり、催促することがあったのではないでしょうか?
年齢と共に体の要求量が減り、食の関心が減るのでスイッチが入りにくくなっていきます。
スティック状のおやつのCMソングで誘う様子は動画にもよく出てきますが、愛猫に合わせて何か合図を決めて、ごはんのじかんだ!とスイッチを入れてあげるとよいと思います。
猫は少量を好きな時間に食べるので、置き餌生活であることが多いですが、開けたての新鮮なにおいの食事のほうが好きということも、高齢猫の飼い主さんならご存じのはず。
ごはんだよ!の合図と匂いで食欲のスイッチを入れてあげましょう。
サポートその4 食べさせる介助
自力での食事が難しくなってきたら、食べさせる介助の段階になります。
初期の段階では、体を支えて器を口が届くところまで運び食べさせます。
猫は舌の筋力低下は比較的少なく、上手に舐めて食べてくれます。
少し段階が進んで、器から食べることが難しくなったら、スティック状のウェットフードや、お菓子の絞り袋を使って舐めさせて与えます。
食欲がなく、強制給餌をする場合は、シリンジなどを使いますが、絞り袋も使いやすいです。
食事を口へ運ぶ介助は、一回に口へ入れる量に注意しましょう。舌で運べる量が1回の量です。1回分を口へ入れたら、舌が運びゴクンと飲み込んだことを確認してから次の一口を与えましょう。
食事の時間は5分程度で一旦切り上げましょう。
食後は水を飲ませ、口腔内を洗浄します。
食事サポートの見直し
猫の食事ケアの要は水分摂取
脱水すれば、体内での消化吸収機能が低下するため、食欲不振となります。
動物の体の約60%は水分です。年齢と共にさらに水分量は減ってしまいますが、脱水が10%を超えると命が危険になります。高齢猫の水分摂取はとても大切です。
加齢によって、飲水の行動が億劫になることもあるでしょう。のどの渇きを感じにくくなってくることもあると思います。水飲み場所は複数用意しましょう。
猫は水にも好みがあります。流れる水が好きであったり、お風呂の水が好きなこともあります。器や場所も好みがあります。いろいろ試してみましょう。
ご家族の見守りの目のストレス
高齢猫では、食事の時間がお薬の時間となっていることが少なくありません。また、食事は健康状態の目安にもなるため、食事の時間は監視の時間になってしまっていることがあります。
猫にとって苦痛な時間になっていないかどうか、見直してみましょう。
「食べる」活動は重労働です。食べる動作にも消化活動にもエネルギーを消耗します。
食べないことは、供給が断たれてエネルギーが足りなくなってしまうと考えがちですが、体力回復・温存のために食べないこともあります。食べない間は、体の蓄えからまかなうことができます。食事を休んだり、量を減らす引き算のケアが、必要な時もあります。
高齢猫の体調の変化は緩やかであり、持病もあれば判断を迷うことが多いですが、休息も大切な養生法です。もちろん心配なとき、判断できないときはいつでも獣医師に相談してください。
ペットホームケアえるそる:犬猫訪問鍼灸・介護リハビリ 訪問獣医師
ペットケアサービスLet’s(高齢犬デイケアサービス&犬の幼稚園):デイケア担当 非常勤
赤坂動物病院:シニアケア担当 非常勤
日本獣医生命科学大学卒、獣医中医師・獣医推拿整体師、
獣医保健ソーシャルワーカー®、横浜市動物適正飼育推進員