犬の「社会化」とは

新しい環境に慣れること、散歩やよく行く公園、ドッグランでほかの犬やいろいろな人と仲良くできること、それを総じて「社会化をしていく」と言われているようですが、犬の社会化とは実際どう行っていくのでしょうか?

「社会化」と「社会化期」

「社会化」と「社会化期」という2つの言葉があります。

社会化期

「社会化期」とは、子犬の発達段階における時期の1つで、生後3週齢位から16週齢位までの時期をいいます。この時期の子犬の脳はスポンジのようにいろいろな情報をストレスなく、どんどん吸収していきます。人の赤ちゃんが言葉を覚えるように、この時期に母犬や兄弟犬とコミュニケーションをとることで犬語を覚え始め、行動範囲が広くなると、母犬や兄弟犬以外の犬とのコミュニケーションを学んだり、人と暮らす社会の中で様々な刺激に触れてその刺激が怖くないものであると学びます。例えば、家の外を走る車の音、人という動物の存在とその人という動物には老若男女いること、ひげを生やしたり眼鏡をかけたり、マスクをしたり、帽子をかぶるような人もいることなどを学びます。この時期に呼び鈴の音、救急車の音、掃除機の存在、杖などを突いて歩く人の存在、ほかの動物たちなどの刺激を吸収し、これから暮らす人との社会に順応していきます。

この時期に、例えば子犬の世話をする人が人の女性ばかりで、男性との接触が最低限だったりすると、子犬が大きくなった時に男性の人に対してちょっと臆病になったり、すぐに近づかないような行動を見せることが多くあります。だからこそ社会化期の子犬には、どんな人もどんな環境もストレスに感じないように、4か月齢までの間にいろいろな刺激に暴露してあげるのが大切になります。

そんな社会化期のトレーニングをしてくれる場所が「パピークラス」とか「パピーパーティ」と言われることが多くあります。いわゆる犬の幼稚園です。4か月齢までの間にぜひ子犬のための幼稚園に通わせたり、ご自宅でいろいろな刺激に暴露させてあげるとよいと思います。新しい刺激に暴露させるときは子犬が過剰に怖がらないように無理強いをせず、ゆっくりフード(食べ物)の報酬を使いながら、慣らしていきましょう。

社会化

「社会化」とは、社会学の用語で、子供や、その社会の新規参入者が、その社会に適応することをいうようです。新しく犬を家に迎え入れた時にその「犬の社会化」をする、ということはおそらく一般的に散歩中にご近所のほかの犬とご挨拶できる、家族以外のほかの人とも仲良くなれる、新たに入った環境になれる、という状態を作る事を指すのだと思います。「犬の社会化」をする場合、無理強いしたり焦ったりすると、犬に大きなストレスをかけることになります。最初に「犬のお友達を作るための犬の社会化」ですが、もしあなたの犬がほかの犬が苦手で、ほかの犬に合うと吠えてしまったり、興奮しすぎてしまうのであれば、無理に犬のお友達を作る必要はありません。社会化期に犬同士のコミュニケーションの方法を学んでいなかった場合は、大人になってから学ぶのには時間がかかり、本人(犬)が嫌がっている場合は無理強いをしても、よいことはありません。犬のお友達がいなくても、今一緒にいるご家族と仲良くできたら、犬は幸せです。

もし、ドッグランなどでほかの犬と仲良くなれそうな行動をしたら、最初は注意深く犬同士を見ていただき、もし片方の犬が歯をむいたり、吠えたり、逃げたりしたら、「もう無理です、ちょっと距離をあけてください」と言っていますので、すぐに2頭の距離を離すようにします。「もっと遊びたい」と相手の犬に言われて、嫌なのに追いかけられたり、相手が「もう結構です」と言っているのにうっかり追いかけてしまったりする場合は、ケンカに発展してしまう可能性もありますので、すぐに人が犬の行動を止めてあげてください。犬と犬の間に手を入れてやめさせるのではなく、おやつや何らかの音を使って飼い主に気を引かせるようにしましょう。興奮した気持ちは、おやつやフードを食べさせて落ち着かせるといいでしょう。

 

執筆者:事務局

 

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