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「保護犬」とは、何らかの事情で手放されたり、捨てられたり迷子で保護されて飼い主が現れなかったりして、動物愛護管理センターや動物保護団体に引き取られた犬のことです。最近は、ブリーダーなどの動物取扱業の繁殖リタイア犬や売れ残った犬なども「保護犬」と呼ぶことがあります。
一口に「保護犬」といってもその経緯は様々です。
- 普通のご家庭で暮らしていたけれど飼い主側の事情で飼い続けられなくなった犬
- 保健所や動物愛護管理センターに迷子で保護され、飼い主が迎えに来なかった犬
- 吠えるなど犬側の問題で飼いきれなくなり手放した犬
- 繁殖リタイア犬
- ノラ犬や野犬
などが主なものです。一般的に、一緒に暮らす難易度は後者になるほど上がっていきます。
どんな犬たち?
何らかの事情で手放された家庭犬や迷子で保護された犬
普通のご家庭の暮らしに慣れているので、比較的飼いやすいこと、犬の特徴や一緒に暮らすときに気を付けることなどが事前にわかりやすいことがあげられます。
迷子で保護されて飼い主が迎えに来なかったケースや、吠えなどの犬側の問題で手放された場合は、しつけなどの対策が必要になるかもしれません。
ノラ犬や野犬
一般的に、人と暮らしたことはあるが長く放浪していた犬をノラ犬、生まれたときから人と接触しないで育った犬を野犬といいます。
ノラ犬は比較的、人との生活に慣れやすいですが、ノラ生活の間に放浪癖がついた場合、脱走に気を付けて迷子にさせないよう特に注意が必要です。
野犬は人に慣れていないうえ、人と一緒に生活したことがないので、飼うにはかなりの注意とテクニックが必要になります。シャイ(臆病)な性格であることが多く、飼い主にはなついても、他人にはなつかないのが普通です。飼育の難易度が高く、「犬の上級者向き」といえるでしょう。初めて犬を飼う方には向きません。
繁殖リタイア犬
ブリーダーで飼われていて、年齢制限や何らかの理由で繁殖させなくなった犬を、繁殖リタイア犬と呼ぶことがあります。これらの犬は品種が明らかですので、トリミングなど必要な世話があらかじめわかる利点があります。適切な飼い方のブリーダーであれば、人や他の犬にもフレンドリーで体の手入れにも慣れているので、初心者にも飼いやすいといえます。しかし、ブリーダーによっては、家庭生活や外への散歩などを経験したことがないことがあり、その場合はトイレのしつけや散歩に慣らすことが必要になります。多くの場合は動物愛護団体を介して譲渡されるので、譲渡の際に、必要なケアやしつけをよく聞くようにしましょう。
トライアル(お試し期間)を活用しましょう
保護犬を迎えるときは、その犬がどんな状況や環境で暮らしていたかなるべく情報を集め、自分の飼育スキルとよく考え合わせて決めましょう。飼いやすい犬もいますし、それまで飼われていた状況によっては放浪癖があったり人に不信感を持っているなど、特に気を付けなくてはならない犬であることもあります。
動物保護団体から譲り受ける場合は、最終的な決断をする前に、一定期間その犬との生活を試してみる「トライアル(お試し期間)」制度を設けている団体を選ぶとよいでしょう。
保護犬と暮らすコツ
保護犬はそれぞれの犬が様々な背景を持っています。
子犬とは違い、経験からいろいろなことを学び、いい影響も悪い影響も受けています。
知らない場所に連れてこられて、知らない人と一緒にいる・・・と犬は感じています。初めてきた家、初めて会った人・・・犬にとってすべてが初めて尽くしで、一緒にいる人がどんな人かも、生活のルールもわかりません。
まずはお互いを知る時間が必要です。されたら困る行動を犬がしないように環境を整えて事故を防いだ上で、犬がどんな性格か、どんなことを望んでいるのかを探り、お互いがうまくいく方法を見つけていきます。
お互いにすぐなじむかもしれませんし、なじむには長い時間がかかるかもしれません。ゆっくり時間をかけて、お互いを知っていくのも、保護犬を飼う楽しみの一つです。
飼い主側の都合を押し付けるのではなく、犬の気持ちを考えて、一緒に暮らす家族として理解し歩み寄る姿勢が大切です。