姿勢維持できない高齢犬の筋力トレーニング

高齢になって筋力が徐々に衰えると姿勢の維持ができなくなって、腰を下ろすことができなくていきなり横になったり、起き上がる時に反動をつけない起き上がれなくなったり、歩くときに支えが必要になったりします。今までできていた日常生活動作の基本がうまくできなくなると犬は不安になります。なるべく日常の動作がおこないやすいように、できる限り筋力を維持できるように、不安をなるべく少なくできるように機能維持と機能回復のリハビリを行い、もともとの自然な筋肉の使い方に近づけるケアをしていきましょう。

姿勢を維持するトレーニングのポイント

姿勢を維持できるように体幹のトレーニングをします。犬を普通に立たせるだけでたくさんの筋肉を使います。不安定であれば支えてあげながら4本足で立たせてその姿勢をキープさせてみましょう。介護マットの上で立たせるとさらに筋力アップにつながります。

動きたいときには動けるようにサポートしましょう

高反発のマットは少ない力でも体重移動の動作を楽にしてくれます。頭の位置を高くしたり、段差をつけると体を起こすことが楽になります。

道具を使った筋力トレーニング

ハーネスや車いすもトレーニングに使用できます。ハーネスは4つの足で立つことをサポートできます。車いすは歩く代わりのもの、と思われることが多いですが4本足の犬には立った姿勢を作ることはとても大切です。

 4輪の車いすは立つ姿勢をサポートしてくれるので老化によって筋力が衰えてきているシニアさんには立つ筋力のトレーニングに役に立ちます。

詳細は「段階に応じたサポート介護予防」を参照ください。

寝たきりになった場合のケア

たきりになると筋力の低下で寝ている姿勢が変わってきますので、身体の負重のかかる場所や向きも今までの本来の自然な状態ではありません。

また、動かないことで筋肉や関節は硬くなり骨格はゆがみます。呼吸や血液循環や消化器官の機能にも影響します。だからこそ、寝た状態でおいておくのではなく、本来の動物の自然な形に近づけるのが健やかな毎日を犬に与えられます。毎日のホームケアで快適な体にしてあげましょう。

寝たきりの犬に何をしてあげられるか

  1. 体を起こす・立たせる
    体を起こすと頭の位置が高くなるので姿勢を保つための機能が複雑に働きます。
    立たせるとさらに足に刺激が加わるので、足からの情報が入ります。この刺激は自律神経を活性化させるのにとても大切です。
  2. 触れるケアで皮膚感覚を鍛える
    皮膚は音の振動、温度、圧力などたくさんの情報をキャッチするところです。体の隅々まで触れる、それだけで皮膚感覚が刺激されます。全身に触れることで皮膚の感覚を刺激しましょう。具体的には急に触ると驚くので、声をかけながらやさしく触れるケアをしてください。このケアはいつからでも始められます。
  3. 体の形を整える
    横になっている時間が長いと関節の動きが悪くなってきます。重力に従って体に歪みも作られます。この様態で無理に体を起こしても犬にとっての楽な姿勢にはなりません。
    こわばった関節はまず温めてほぐして動きやすいようにしておくといろいろな姿勢を取りやすく快適に過ごすことができると思います。

さいごに

犬猫の介護ケアは現在も発展途上です。本記事でお気づきの点がございましたらお知らせください。

ペットホームケアえるそる https://phcelsol.jimdofree.com/

 

執筆者:松本晃子
獣医師
ペットホームケアえるそる:犬猫訪問鍼灸・介護リハビリ 訪問獣医師
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ペットケアサービスLet’s(高齢犬デイケアサービス&犬の幼稚園):デイケア担当 非常勤
赤坂動物病院:シニアケア担当 非常勤
日本獣医生命科学大学卒、獣医中医師・獣医推拿整体師、
獣医保健ソーシャルワーカー®、横浜市動物適正飼育推進員